2016年11月号
特集
闘魂
インタビュー③
  • ライトハウス会長兼CEO込山洋一

アメリカに暮らす
日本人の"灯台"で
あり続けたい

ロサンゼルスを中心に、全米20万人の在米邦人に読まれている日本語情報誌『ライトハウス』。発行人の込山洋一氏は商船高専を卒業後、単身渡米し、23歳の若さで起業。紆余曲折を経て、同誌を現地の日本人の拠り所となる人気媒体へと育て上げてきた。込山氏が培ってきた人生や経営の信条について、今日に至る闘いの道のりを交えながらお話しいただいた。

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アメリカに住む日本人の悩みを誌面で解決

──込山さんの発行する日本語情報誌『ライトハウス』は、アメリカ在住の日本人の間で多数愛読されているそうですね。

早いもので、今年創刊28年目になりますが、最初に手掛けたロサンゼルス版が毎号5万部、サンディエゴ版が2万部、シアトル・ポートランド版が1万5,000部、ハワイ版が2万部になります。
さらに昨年、直営ではなく現地メディアに記事を提供する形で中西部版も立ち上げました。これ以外に全米版生活ガイド、シアトルやサンディエゴの旅行ガイドも発行しています。

──どのような内容の情報誌なのですか。

日本人がアメリカに住む際に抱える問題は多種多様です。滞在ビザに始まって、保険や年金制度、教育制度、バイリンガル教育、異国での起業や転職、冠婚葬祭、親の介護や相続、自身の終の住処、結婚や離婚、訴訟など。アメリカ生活をしていく上で抱える様々な問題を解決するための情報提供をしています。
1989年に創刊した時は、既に26社先行する日系メディアがありましたが、その内容はどこかの社長のインタビューをその会社の広告と一緒に掲載する提灯記事や、買ってきた記事で誌面を埋めるメディアが少なくありませんでした。
そんな中、他社は他社、私たちはあくまでも読者や広告主に価値を感じていただける唯一無二の情報誌を目指し、それを判断基準に誌面づくりに取り組んできました。とりわけ3つの編集方針は、私たちの使命として守り続けています。

──3つの編集方針とは?

1つは、先に触れた海外在住者の「課題解決」です。個人で調べるには限界があります。そこで、読者に代わり私たちが豊富なネットワークと調査力を駆使して、海外における困り事の解決策や選択肢を在住者に提供する。
2つ目は「勇気と元気」です。日本から離れて、言葉も習慣も異なる海外で生活していると、時には心が折れそうになることもあります。そんな時、現地で頑張っている自分以外の人の生き方に触れることで気持ちが奮い立ちます。海外に暮らす日本人が逆境を乗り越え、胸を張って生きられるように、様々な分野で活躍している日本人を「発掘」して誌面でご紹介することも私たちの使命です。
3つ目は「うるおい」。おいしいものを食べに行ったり、家族や恋人と楽しんだり、毎日の生活を楽しむことも人生には必要です。
私たちはこの3つから外れない誌面づくりを大切にしています。安易な方向に流されることなく、これからもパワーと時間とお金をかけて、日本人の異国での生活がより豊かで充実したものになるように取り組んでいきたいですね。
もともと深い考えもなく、若さに任せて創刊したのですが、この情報誌で何ができるかを突き詰めて考えるうちに、在住者の人生や生活の道標になりたいとの思いに気づきました。そこで私自身が船乗りの学校を出ているので、創刊2年目に、航海する船の道標である灯台、ライトハウスという現在のタイトルにしました。

ライトハウス会長兼CEO

込山洋一

こみやま・よういち

1965年香川県生まれ。1986年国立弓削商船高等専門学校航海学科卒業。国土交通省航海訓練所での1年間の航海実習中に、ロサンゼルスの青空と自由闊達な風土に魅了され、卒業と同時に渡米。学習塾経営を経て、1989年日本語情報誌『ライトハウス』創刊、社長に就任。2015年より現職。