地球上に現存する多様な生物は、すべて進化によって生じてきたと考えられている。進化論の自然淘汰説によると、すべての生物の遺伝子は皆利己的で、利他的なものは淘汰されて存在しないことになる。では、私たちの社会に見られる利他的な行為は遺伝子によるものではなく、環境、すなわち教育や躾などの結果によるものであろうか。本当に利他的な遺伝子は存在しないのだろうか。遺伝子の研究者である柳澤嘉一郎氏にお話を伺った。
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筑波大学名誉教授
柳澤嘉一郎
やなぎさわ・かいちろう
昭和6年長野県生まれ。コロンビア大学大学院博士課程修了。ブランダイス大学、スローン・ケタリング癌研究所、東京教育大学などを経て、筑波大学に。著書に『遺伝学』(岩波書店)『利他的な遺伝子』(筑摩選書)など。