社会にはいまこの瞬間も、難病や重度障害の子を抱え、一切気の抜けない日常を生きる家庭がある。「命あるものすべてが栄えることを望む」――聖武天皇は、奈良の東大寺大仏の造立にこの切願を込めたという。その境内の片隅に、そうした家族を招き入れ、日常を離れた親子の憩いの時間、命の交流をつくろうと心を砕く人たちがいる。施設の代表である富和清隆氏は、いかに親子の人生を輝かせてきたのだろうか。
この記事は約11分でお読みいただけます
奈良親子レスパイトハウス代表幹事
富和清隆
とみわ・きよたか
小児科専門医。昭和24年大阪府生まれ。43年東大寺学園卒業、50年京都大学医学部卒業。その後、聖路加国際病院小児科レジデントなどを経て英国ロンドンに留学、神経遺伝学研究に従事する。帰国後、大阪市立総合医療センター小児神経内科部長、京都大学大学院医学研究科教授を経て平成22年東大寺福祉療育病院に入職。同年東大寺境内に奈良親子レスパイトハウスを設立。