突然の事故により車椅子生活を余儀なくされ、サッカーへの道を閉ざされた京谷和幸氏と、F1ドライバーへの夢を絶たれた長屋宏和氏。しかし、ともにその逆境から立ち上がり、京谷氏は車椅子バスケット、長屋氏は車椅子利用者のファッションブランド・ピロレーシングの立ち上げと、新たな世界を切り開いてきた。お2人が語り合う逆境との向き合い方、そして逆境を乗り越えた先に見えたもの──。
車椅子バスケットボール 男子日本代表アシスタントコーチ
京谷和幸
きょうや・かずゆき
昭和46年北海道生まれ。室蘭大谷高校二年の時、サッカー日本ユース代表とバルセロナオリンピックの代表候補に選出。その後、古河電工に入社し、平成3年Jリーグのジェフ市原とプロ契約を結ぶ。5年22歳の時に交通事故で脊椎を損傷し、車椅子生活となる。その後、車椅子バスケットチーム・千葉ホークスに入り、活躍。12年のシドニー、16年のアテネ、20年の北京、24年のロンドンと、四大会連続でパラリンピックに日本代表として出場。北京では日本選手団主将も務める。24年車椅子バスケット現役引退後は、指導者として道を歩む。著書に『車いすバスケで夢を駆けろ』(金の星社)『車椅子バスケのJリーガー』(主婦の友社)などがある。
ピロレーシング代表
長屋宏和
ながや・ひろかず
昭和54年東京都生まれ。14歳からレースを始め、平成11年フランスの「ラ・フィリエールレーシングスクール」に1年留学。帰国後、F1に続くカテゴリーであるF3にステップアップ。14年三重県鈴鹿サーキットで行われたF1前座レース中に事故に遭い、脊椎損傷四肢麻痺の重度障碍者となる。リハビリの後、16年に絶対不可能といわれたカートレースに復帰し、完走。17年には車椅子利用者のためのファッションブランド「ピロレーシング」を立ち上げる。現在は主にピロレーシングの商品開発に取り組みながら、レーサーとして挑戦を続けている。著書に『それでも僕はあきらめない~元F3レーサー、車いすからの新たな挑戦』(大和出版)がある。