2022年2月号
特集
百万の典経てんきょう  日下にっかともしび(とう)
インタビュー③
  • 浜学園アドバイザー佐藤亮子

1万冊の読み聞かせで
我が子を育む

3男1女全員を理系最難関の東大理Ⅲへ進学させた佐藤亮子さん。我が子の笑顔を第一に試行錯誤を重ね、愛情の限りを尽くして実践した家庭教育の1つの柱が、1万冊の絵本の読み聞かせだったという。読み聞かせの効用を交え、子育てに込めてきた母親の思いを伺った。

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子育ては18年限定できる限りのことをしよう

——佐藤さんは、4人のお子様を全員東大の理Ⅲへ入れた母親として、実践してこられた子育てや教育法が大変注目を集めていますね。

もともと大学には全然こだわっていなかったんですよ。それぞれが手の届くところへ行ってくれたらいいと思っていたんですけど、あまりにも極端な結果が出てしまいまして(笑)。いまは3人の息子が医者になり、末っ子の娘が医学部に在籍中で、子育てもひと段落したので、子供たちがお世話になった塾のアドバイザーとして、子育てや勉強法についてお話をさせていただいているんです。

——具体的にはどんなお話を。

私が子供を育てる時に目標にしたのは、自活、つまり自分の力で稼いで食べていける子に育てることでした。社会に出る時に十分な能力が身についていなかったら、仕事の選択肢がグッとせばまるでしょう。ですから、子供が納得できる仕事を選べるだけの能力を養って、幸せな人生を歩んでいけるようにサポートしてあげるのが、親の役目だと私は思うんです。
そのために必要なのが、基礎学力です。最初に読み書き計算という基礎学力をがっちり身につけておかないと、中学、高校でいくら勉強しても、ガタガタな土台の上には何も載らないんですよ。だから、家庭学習を通じて基礎学力をしっかり養うことの大切さを、お母さん方にお話しするんです。

——家庭で基礎固めをするためのサポートが大切だと。

もちろん、お母さんは家事やお仕事でとても忙しいから、大変だと思います。でも私は、子育ては18年限定の営みだと思っていました。子供が大学に入る頃にはもう自分の世界ができてくるから、親として関われるのは18歳までだなと。だったら18年間、自分にできる限りのことをしよう。そして、子供が40歳になって自分の18歳までを振り返った時に、あの頃は楽しかったなぁって思ってもらいたいと考えたんですよ。
では、18年をどう楽しくするかっていったら、そのうちの12年を占める学校生活を楽しくすること、そのために学業を充実させることが大切だと思いました。

浜学園アドバイザー

佐藤亮子

さとう・りょうこ

大分県生まれ。津田塾大学卒業後、大分県内の私立高校で英語教師を務める。結婚後は専業主婦として長男、二男、三男、長女の4人の子供を育て、全員東京大学理科三類に進学。現在、長男と二男、三男は医師として活躍し、長女は東京大学医学部に在学中。その育児法、教育法に注目が集まり、進学塾のアドバイザーを務めながら、子育てや勉強、受験をテーマに全国で講演を行う。著書に『「灘→東大理Ⅲ」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』(角川書店)『我が家はこうして読解力をつけました』(くもん出版)など。