2022年10月号
特集
生き方の法則
インタビュー③
  • 柿の実幼稚園園長小島澄人

みんな違って、みんないい

子供たちに教わった生き方の法則

神奈川県川崎市に4万坪の広大な敷地を誇り、900名の子供たちがのびのびと育つ柿の実幼稚園がある。41年前にこの園の職員となった現園長の小島澄人氏は、重度の障がいや病気を抱える子供たちを積極的に受け入れ続けてきた。現在も約120名のハンディのある子供たちが健常者と共にイキイキと幼稚園に通っている。「みんな違って、みんないい」をモットーに、人生を幼児教育に捧げてきた小島氏の生き方に迫る。

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子供たちの原点となる体験や風景を

——ツリーハウスに果樹園、アスレチックから大きなお庭まで……。自然豊かな園内ですね。

柿の実幼稚園の敷地は1万坪ですが、裏山など学校法人が所有している土地を含めると約4万坪になります。私は子供たちが「明日も幼稚園に行きたい!」と、まるでピクニックに出かけるような気持ちで通ってもらえる幼稚園でありたいと思っているんです。
その子の原点となる体験や風景を提供するためにも、季節ごとに数十種類の果物がる果樹園や泥んこになって遊べる砂場、田んぼや畑、室内アスレチックやローラーすべり台など、自ら山を切り開き様々な施設や遊具をつくってきました。子供たちは自然の中で体いっぱい、全力で遊んでいますよ。

——いまはどれくらいの子供たちを受け入れているのですか。

約900名です。決して大きな園にしようと思ってそうなったのではありません。どこにも受け入れてもらえない障がいや病気を抱える子を引き受け続けてきた結果、このような数になりました。その中で特別支援教育を行っているお子さんは120名~130名ほど。ダウン症や発達障がいのある子の他に、車や呼吸器を必要とする子、難病を抱えながら通っている子など、数十か所で受け入れを断られてきた子がたくさんいます。

——受け入れる上で大事にしていることはありますか?

「みんな違って、みんないい」をモットーに、障がいのある子の特別クラスを設けず、皆一緒に育てることが我が園のポリシーです。
学校や会社、社会に出て出会う人に一人として同じ人はいませんよね。その中で生きていくには、小さい時から様々な個性を持つ人の輪の中で自然に生きていくことが大切です。様々な子を受け入れるため、保育士は170名ほど在籍している他、看護師や介護福祉士も常駐しています。
実際、子供たちは車椅子に乗った子とも自然に遊んでいますし、写真を撮る時も、病気で椅子に座れない子がいたら「僕たちも寝て撮ろう!」と、みんなが寝転がって一緒に写っています。
障がいを抱える子や医療行為の必要な子は、家に閉じこもることが多く感情の起伏が少なくなりがちなので、同じ年ごろの友達と接することは、社会性を身につける上でも非常に重要なんですね。また、健常児にとっても友達を助けてあげたり、支えてあげることが習慣となり、優しく思いやりのある子に育ってくれるのです。

柿の実幼稚園園長

小島澄人

こじま・すみと

昭和30年長崎県五島列島に生まれる。クリスチャンの家で育ち、神学校で学びながら慶應義塾大学哲学科を卒業後、高校教師を経て、56年に義父が運営していた柿の実幼稚園の職員となる。59年より同園園長。4万坪の敷地を自ら開墾し、遊び場とするなど、理想とする幼児教育の実現を目指している。