2021年5月号
特集
命いっぱいに
生きる
インタビュー③
  • TKC社長、天才キッズクラブ理事長田中孝太郎

子どもたちは皆、素晴らしい
才能を授かって生まれてくる

神奈川県を中心に、保育園「天才キッズクラブ」や学童施設を運営するTKC社長の田中孝太郎氏。特に「天才キッズクラブ」は、子どもの才能がぐんぐん伸びる〝奇跡の保育園〟として話題を呼び、入園希望者・見学者が後を絶たないという。その保育園を一から立ち上げた田中氏に、人生の歩みを交えながら、幼児教育への思いと夢を語っていただいた。

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「やらせない、教えない、無理強いしない」

——田中さんが理事長を務める天才キッズクラブは、子どもたちの才能がぐんぐん伸びる、〝奇跡の保育園〟と呼ばれ、入園希望者・見学者が後を絶たないそうですね。

ありがとうございます。まず天才キッズクラブという名称ですが、これは当園に通っているから天才になるということではなく、子どもは皆生まれながらに天から素晴らしい才能を授かって生まれてくる。その一人ひとりの才能・個性を、環境を整えることによって、最大限に伸ばしてあげたいとの思いからつけたんですね。
そのために力を入れているのが「文武両道」。とにかくいっぱい運動をし、カルタ遊びや足し算・引き算などいっぱい知的な取り組みをして、心と体の両面から才能を伸ばしていく。それから「道徳教育」。挨拶や感謝する心を含め子どもたちがお互いに励まし合い、認め合う利他りたの心をはぐくむことでそれぞれの個性を発揮させていく。
例えば、当園では毎日、マラソンをしているのですが、必ず一人ひとりの名前をフルネームで呼び、その子が頑張っている姿を「すごい!」「かっこいい!」と徹底的にめる、認めてあげるんです。その時、「もっと頑張りなさい」「しっかり走りなさい」という指示や命令は絶対言いません。その子が頑張る姿、個性をありのままに認めてあげることを意識しています。

——やはり、しかるよりも褒めたり認めたりするほうが子どもは伸びていくのですか。

10年以上、子どもたちに向き合い、いろんな勉強をしてきましたが、よいところを褒めて認める長所伸展法のほうが、子どもたち全体を伸ばしていく上では最も効果があります。もちろん厳しくして伸びる子もいますけど、全員には通用しません。厳しい指導で成長する子がいる一方、才能が開く前に自信を失ってつぶれていく子がかなり多いんですね。また、それによって自己肯定感の低い子がたくさんできてしまう。これは幼児教育だけでなく、企業の人材育成などにも通じるように思います。
それから、私が人生の師と仰ぐ西田文郎ふみお先生(サンリ会長/能力開発の第一人者)に教わったことで大事にしているのが、常に「ワクワク」、「笑顔」なんです。

その教えを受けて、私はトイレに行く時も眠る時も常にワクワクして、笑顔であることを意識しているのですが(笑)、子どもたちもワクワクすること、楽しいことには自分から夢中になって自発的に取り組みます。ですから、当園ではスパルタ式は一切排除して、とにかく「やらせない、教えない、無理いしない」「1に楽しく 2に楽しく 3、4が無くて5に楽しく」という教育方針を徹底して実践してきたんです。

——子どもたちのやる気や自発性を大事にするのですね。

もちろん、きょうはマラソンで走りたくない、見ているだけでいいという子もいます。そういう時にも無理強いせず、先生たちが工夫を重ねて、その子が「自分もやりたい!」と自ら言い出すような楽しい場をつくり、本人のやる気スイッチが入るまでじっと待ってあげる。確かに時間はかかりますが、最後は「皆が楽しそうだから自分もやりたい!」というふうになるんですよ。やっぱりやる気、自発性がその子の成長や人生を導く大きな力になるんです。

——何事にもやる気を持って自ら取り組む。まさにいまの時代に求められている心の姿勢ですね。

先日も、あるスポーツ競技の監督とお話しする機会があったのですが、日本の多くの中学・高校の部活動では監督の力が強く、子どもたちは上から言われたことをやらされているだけ。だから試合でも決まったことしかやらないとおっしゃっていました。
強制しなくても、一人ひとりの個性をしっかり認めてあげて、自己肯定感とやる気を育んであげれば、自らいろんなことに挑戦し、自然にぐんぐん成長していくのが子どもなんです。実際、当園の子どもたちは4歳、5歳で逆立さかだち歩きをし、3段~8段の跳び箱を跳び、英語のカルタ、足し算・引き算、掛け算も暗算で瞬時にやってしまいます。また、本が大好きで、年間400冊以上の絵本を読む子もいます。落ちこぼれて来なくなる子もいません。教育環境さえ整えれば、子どもたちはすごい天才性を発揮する。子どもたちの可能性は本当に〝無限大〟なんですよ。

TKC社長、天才キッズクラブ理事長

田中孝太郎

たなか・こうたろう

昭和33年長野県生まれ。不動産会社勤務を経て、平成3年に独立、不動産業と共にブティック・アパレル会社を経営。21年に㈱TKCを設立。翌年保育園「天才キッズクラブ」を開園し、現在、神奈川県を中心に17の保育園と学童/課外教室を展開している。著書に『やらせない、教えない、無理強いしない天才キッズクラブ式「最高の教育」』(きずな出版)がある。