地位も名誉も欲さず、ただひたすら自らの求める独自の美学を貫き通し、「画壇の仙人」と称された画家・熊谷守一。その最晩年の貴重な姿を撮り続けたのが写真家の藤森 武氏である。藤森氏に豊富な逸話を交えながら、熊谷守一の生き方が教えるものを語っていただいた(写真:奥様と囲碁を打つ晩年の熊谷守一〈写真提供=藤森武〉)。
写真家
藤森 武
ふじもり・たけし
昭和17年東京都生まれ。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒。在学中の37年写真家・土門拳に師事。42年凸版印刷写真部に入社、45年からフリーランス。著書に『独楽 熊谷守一の世界』(世界文化社)など多数。日本写真家協会会員。土門拳記念館理事・学芸員。今年9月22日~30日まで写真展「退き退き生きる 熊谷守一の世界」を都内で開催。