2021年5月号
特集
命いっぱいに
生きる
対談
  • (左)開華GPE代表理事村松大輔
  • (右)帯津三敬病院名誉院長帯津良一

波動とエネルギーを
高めて生きる

〝攻めの養生〟〝自分発振〟で
よりよい人生をひらく

ホリスティック医学の第一人者として、人間の〝生と死〟に向き合い続けてきた帯津三敬病院名誉院長の帯津良一氏。量子力学の理論を塾の運営や社会人向けのセミナーに生かし、多くの人々の才能と可能性を大きく華開かせてきた開華GPE代表理事の村松大輔氏。お互いの活動に深く共感し合うお二人に、自らに与えられた天分を発揮し、人生の最期の時まで命いっぱい凛として生きる秘訣を縦横に語り合っていただいた。

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導かれるようにして実現した出会い

村松 帯津先生と共著を出させていただいたのは、2020年の8月のことでしたね。事の始まりは2019年10月。湯島ゆしま倫理法人会の五十嵐由人よしと会長とのご縁から、モーニングセミナーで講話をさせていただいたのですが、それを総合医学社(東京都)の渡辺嘉之よしゆき社長が聴いてくださっていて、村松さんの話は帯津良一先生が取り組まれているホリスティック医学と通じるものがあるから、ぜひ一緒に本を出しませんか? と。もう本当にありがたいお申し出で……。
というのも、実は帯津先生のことは、大学2年の時に参加した経営コンサルタントの舩井ふない幸雄先生のセミナーでお見掛けし、お話も拝聴していたんです。また、改めて帯津先生の近刊を読んでいく中で、東京大学空手部の39年上の大先輩だということが分かり、さらに衝撃を受けました(笑)。

帯津 渡辺社長から共著のお話をいただいた時、正直、村松さんのことは何も存じませんでした。
ところが、村松さんの著書を読んでみると、東京大学で空手をやっていたと書いてあるんでね。私も東大医学部時代に空手を一所懸命やっていましたから、ああ、なつかしい、これもご縁だなと、すぐに渡辺社長に「共著の件、よいですよ」って連絡をしたんです。

村松 本当にありがたいお導きでした。ありがとうございます。
それで一緒に本をつくっていく中で、渡辺社長がおっしゃったように、帯津先生のホリスティック医学と、私が主宰しゅさいしている「開華塾かいかじゅく」やセミナーで子供たち、社会人の方々に伝えている〝量子力学的生き方〟とが共通していることを改めて実感していきました。

帯津 本当にそうでしたね。

村松 私が大学、その後独学で学んだ量子力学という学問では、意識や感情には実体があって、フォトンという素粒子でできていることが分かっています。私たちは普段から無意識のうちにフォトンに意識や感情を載せて発振はっしん、つまり波、周波数を飛ばしているわけです。ですから、「楽しい!」と思えば、「楽しい!」という振動を帯びたフォトンが発振され、「むかつく!」と思えば、「むかつく!」という振動が発振されていく。そしてそのフォトンは「ゼロポイントフィールド」というすべての宇宙の根源となる場から、瞬間、瞬間に生み出されているんですね。
さらに、フォトンは「共振」といって、同じような周波数同士で反応、共鳴し合うんです。いまの例でいえば、「楽しい!」という周波数のフォトンを発振すれば、楽しい周波数・楽しい現象が共振して返ってきて、逆に「むかつく!」という周波数を発振すれば、実際にむかつくような出来事を呼び寄せてくる。結局は、私たちの人生は自分が発振している周波数の通りに現実化しているわけです。
自分の塾やセミナーではそういうことを伝えて、自分を高め、よりよい人生を実現していくお手伝いをさせていただいています。

帯津 私はホリスティック医学をやり始めて40年になるんですけど、西洋医学が肺や胃など人間の局所をていくのに対し、ホリスティック医学では患者さんの体全体のつながり、生老病死しょうろうびょうしを含めて人間を丸ごと診ていくことを重視します。ですから、ホリスティック医学は患者さんを中心に家族、友人、すべての関係者が営む「場の医学」であると言えるんです。
つまり、患者さんを含め、すべての当事者が自分の内なる生命場のエネルギーを高め、皆で医療現場全体のエネルギーを高めていくと。その結果、患者さんは病を克服していき、また他のすべての当事者もやされていくわけです。
そして、皆で生命場のエネルギーを高めてよい場をつくっていくという意味では、村松さんの量子力学的生き方、〝自分発振〟のお話と非常によく合うんです。本当にこれにはびっくりしました。

村松 確かに、量子力学は「場の理論」とも言われています。そこにいる人たちが同じ周波数帯で交流することによって、その周波数帯の「場」、〝エネルギーフィールド〟ができていく。それが高い周波数であればあるほど、その場のエネルギーもどんどん高まっていって、そこにいる人たちの心と体を包み込み、どんどんよい方向に動かしていくんです。それを医療現場で実践されている帯津先生は本当に素晴らしいと思います。

帯津三敬病院名誉院長

帯津良一

おびつ・りょういち

昭和11年東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、同医学部第三外科、都立駒込病院勤務を経て57年埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立(平成13年より現職)。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長。『帯津三敬病院「がん治療」最前線』(佼成出版社)など著書多数。

小ホリスティックから大ホリスティックへ

帯津 ただ、私は2015年に18年務めた日本ホリスティック医学協会の会長を辞め、名誉会長になりましてね。改めてこれまでの歩みを振り返り、自分がやってきたホリスティック医学は本物じゃなかったなと反省したんです。それで、浮かんだのが「大ホリスティック」という考えなんです。
2016年5月、長年一緒に頑張ってきた看護師さんが80歳で当院を引退したのを機に、曹洞そうとう宗の名刹めいさつで生前葬を行ったんですね。その席でご住職の読経どっきょうを聴いている時に、突然、右手の中空に墨痕淋漓ぼっこんりんりたる「大ホリスティック」という文字が浮かんだんですよ。

村松 読経の振動数、周波数と共鳴して、メッセージが降りてきたんでしょうね。
帯津 それで大ホリスティック医学には3つの概念があるんですが、1つは「場の階層」。私たちが籍を置いている人間という階層は、下に向かっていけば臓器、細胞、遺伝子、分子、原子、素粒子という場が層を成しています。一方、上に向かっていけば家族や職場、地域社会、自然界、国家、宇宙、虚空こくうが層を成している。そして上の階層は下の階層に存在する性質をすべて持ち合わせている上に、プラスアルファの性質を持っていると私は考えるんです。換言すれば、私たちは全階層に同時に存在しているとも言えます。
ですから、すべての階層がしっかり関係し合っており、本当に人間を丸ごと診るためには、素粒子から虚空まで全階層をとらえていかなければならないわけです。これもまさに量子力学に通じます。
にもかかわらず、それまでのホリスティック医学は、一部の階層しか診ていなかった。要するに「小ホリスティック」だったんです。

村松 大ホリスティック医学では、より量子力学的に人間を診ていくのですね。
帯津 そして2つには、「純粋な場の医学」、「霊性れいせいの医学」です。
大乗仏教の唯識学ゆいしきがく説では、人間の心は8つの層、げんぜつしんの6つの「表層心」と末那識まなしき阿頼耶識あらやしきの2つの「深層心」から成るとされます。ですから、大ホリスティック医学では、その最後の純粋な心の世界、阿頼耶識に至って初めて純粋な場の医学、霊性の医学になると私は考えるんです。この霊性の医学は、量子力学的には「ゼロポイントフィールドの医学」と言えるかもしれません。

そして最後はあの世とこの世の統合、「生と死の統合」です。患者さんが死を生と対立するものとして恐れれば、病気も思うように回復していきませんし、適切な医学を提供することもできません。ですから、患者さんが生きながらにして死を前向きに受け入れる、あの世とこの世、生と死を統合するまでサポートするのが、大ホリスティック医学だと思うんです。

開華GPE代表理事

村松大輔

むらまつ・だいすけ

昭和50年群馬県生まれ。平成10年東京大学工学部を卒業し、父親の経営する会社に勤務。25年脳力開発塾「開華」設立。量子力学をベースに「自分発振」による脳力開発を提唱。現在は企業向けのセミナー等でも活躍。著書に『「自分発振」で願いをかなえる方法』、2021年4月に『時間と空間を操る 「量子力学的」習慣術』(共にサンマーク出版)を刊行予定。