2019年1月号
特集
国家百年の計
私の提言⑤
  • 福田病院理事長福田 稠

医療を通して
女性の幸せに貢献する

年間のお産数は実に3,800人。地元熊本の周産期医療を担い、日本で最も多くの出産を手掛けているのが福田病院である。当院に着任して以来様々な工夫を重ね、妊産婦から絶大な支持を集めてきた福田稠氏に、妊産婦医療に懸ける思いと、医療を通じてのこの国のあり方を伺った。

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年間3,800人のお産を手掛ける

私が父の後を継ぎ、熊本県にある福田病院の院長になったのは昭和56年。当時の当院のお産数は、年間400~500人ほどでしたが、その後一貫して増え続け、いまは年間約3,800人に達しています。こんな田舎町の病院ではありますが、これは日本一のお産数になります。

祖父が当院を開業したのが明治40年ですから、2018年で112年になりますが、現在では地域の周産期医療センターとして、新生児集中治療室(NICU)など高度先端医療や、地元開業医のサポートにも取り組んでいます。先般の熊本地震では、地元の基幹病院が大きな被害を受けたこともあり、そちらの患者さんの受け皿にもなっています。

また、近年はお産を巡る状況も様変わりしてきました。昔は家族や地域からたくさんの手助けを得られたものですが、いまは核家族化や地域の崩壊が進んでいることで、未熟な親が丸裸で街中に放り出されたような状況になることもあり、児童虐待が増えているのです。特に「特定妊婦」といい、精神的、社会的、経済的に問題を抱えて子育てに大きな支障を来す人もいます。当院は国から産前産後母子支援センターの指定を受けており、こういう人たちを救うことにもいま特に力を注いでいます。

児童虐待死を起こすのはほとんどが母親で、ゼロ歳児の月齢1か月の時に多いのです。ですから、妊娠初期からしっかり見守っていくために、臨床心理士やソーシャルワーカーを常駐させ、児童相談所や保健所など、行政とも連携して対応しています。

創設者の祖父は、医療を通して女性の幸せに貢献するという志を抱いて当院を設立しました。妊娠、出産は女性の人生の大切な一ページです。故に、できるだけ輝いたものにしてさしあげるのが、私どもの重要な使命なのです。

福田病院理事長

福田 稠

ふくだ・しげる

昭和21年熊本県生まれ。久留米大学医学部卒業。熊本大学医学部大学院修了。国立熊本病院を経て、56年福田病院院長。平成22年より熊本県医師会会長。