作家の高見順が食道がんを患い入院していた折、病室の窓から1人の少年が嵐の中で新聞配達をしている姿を見て作ったという詩がある。
《なにかをおれも配達しているつもりで/今日まで生きてきたのだが/人びとの心になにかを配達するのが/おれの仕事なのだが/この少年のようにひたむきに/おれはなにを配達しているだろうか》
この詩を初めて読んだ時の感動をいまも忘れない。その時胸に込み上げたのは、では『致知』はこれまで何を配達してきたのだろうか、という思いであった。
最近、その答えとなるような手紙をいただいた。長崎在住の吉村光子さんという女性からである。その一部を紹介する。