大手家電量販店の台頭、躍進によって街の電器店の勢いが徐々に失われていく中、その流れに歯止めをかけた一人の人物がいる。現在、全国約860もの加盟店を擁するアトムチェーン本部の創業者、井坂泰博氏だ。その独創的な手法は「利他の精神」に溢れ、その恩恵は加盟店を潤す源泉にもなっている。一度は人生のどん底を味わいながら、氏はいかにして街の電器店の救世主になり得たのか。その波乱万丈の経営人生を伺った。
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アトムチェーン本部会長
井坂泰博
いさか・やすひろ
昭和21年大阪府生まれ。大阪府立堺工業高等学校卒業後、三洋電機中央研究所に入社。同年大阪工業大学応用化学科(夜間)に入学。45年家電小売店「井坂電器店」を創業。51年井坂電器を設立、社長に就任。平成元年アトムチェーン本部に社名変更後には、「街の電器屋」を束ねるフランチャイズチェーンを全国で展開。29年会長に就任し、現在に至る。