力強さと繊細さを兼ね備えた謡と演技で人々を魅了する能楽師・九世 観世銕之丞氏。江戸後期から続く銕之丞家の当主、演劇団体・銕仙会の棟梁として日本の能楽会を担ってきた銕之丞氏に、葛藤と悩みの日々だったという修業時代、活動の支えにしてきた世阿弥や先代の教え、そして、600年の歴史を有する能楽の素晴らしさについて熱く語っていただいた。
この記事は約12分でお読みいただけます
ショパンの心臓が納められているポーランド・ワルシャワの聖十字架教会で行われた奉納公演「調律師~ショパンの能」(ヤドヴィガ・ロドヴィッチ原作)。観世氏は海外に能の魅力を伝える活動にも取り組んでいる ©銕仙会
能楽師、銕仙会代表理事観世流シテ方
九世 観世銕之丞
かんぜ・てつのじょう
昭和31年、八世観世銕之亟静雪(人間国宝)の長男として東京に生れる。本名は暁夫。伯父・観世寿夫、および父に師事。4歳で初舞台、8歳で「岩船」の初シテを舞う。平成14年、九世観世銕之丞を襲名。平成20年度(第65回)「日本芸術院賞」、23年「紫綬褒章」受章。重要無形文化財総合指定保持者。公益社団法人銕仙会代表理事。公益社団法人能楽協会理事長。能楽をテーマにしたマンガ『花よりも花の如く』(著者・成田美名子)監修。