2022年8月号
特集
覚悟を決める
  • 日本政策研究センター主任研究員岡田幹彦

明治天皇に学ぶ
日本人の生き方

今年(2022)御生誕170年、崩御から110年という記念すべき年を迎える明治天皇。しかし、その実像や日本近代化に果たした役割は、正しく理解されているとは言い難いのが現実である。日本の近代史に精通する日本政策研究センター主任研究員の岡田幹彦氏に、明治天皇の偉大なる精神と私たち日本人へのメッセージを紐解いていただいた(写真:第122代天皇の明治天皇と昭憲皇太后を御祭神として大正9(1920)年11月1日に創建された明治神宮の拝殿)。

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明治維新は世界史の奇蹟

19世紀後半から20世紀にかけて、ほとんどすべての非西洋諸国が欧米列強の植民地・属国となった。しかし、我が日本民族のみが近代国家として新生し独立をまっとうすることができた。のみならず、当時世界一の陸軍国・ロシアを日露戦争で打ち破り、全世界を驚嘆させ、西洋列強の植民地支配を終わらせる端緒たんしょを開いた。これこそまさに世界史の奇蹟であった。

ではなぜこの日本の奇蹟はあり得たのか─―その最大の理由は国家を統合し、国民を一致団結せしめる〝天皇〟が存在したからである。幕末・明治日本には多くの優れた人物が現れたが、近代日本を代表する人物をただ一人挙げるとするならば、やはり明治天皇であろう。明治天皇なくして近代日本の歴史はあり得なかった。

しかし、明治天皇の御存在がいかに偉大であったか、知らない日本人が大半だろうと思う。なぜなら、偏向した戦後教育により、私たちは明治天皇が果たされた重要な役割を教えられてこなかったからである。レーニンや毛沢東もうたくとうの写真は大きく掲げられているにもかかわらず、明治天皇の肖像画を掲載していない教科書もある。これがゆがんだ戦後教育の実態である。

令和四年は明治天皇の御生誕170年、ほうぎょから110年の記念の年に当たる。の国難の時代に日本を導いた明治天皇の御教みおしえとご覚悟に学ぶことにより、今日の文明的大転換期に日本が果たすべき役割、進むべき道が見えてくるであろう。

日本政策研究センター主任研究員

岡田幹彦

おかだ・みきひこ

昭和21年北海道深川生まれ。國學院大學中退。学生時より日本の歴史・人物の研究を続け、月刊『明日への選択』に数多くの人物伝を連載すると共に、全国各地で歴史講座や歴史講演会を行う。平成21〜22年『産経新聞』に「元気のでる歴史人物講座」を連載(103回)。著書に『親日はかくして生まれた』(日本政策研究センター)『日本の誇り103人』『日本の偉人物語1ー7』『日本の母と妻たち』(いずれも光明思想社)など多数。