史上初兄妹同日金メダル獲得──それが昨夏の東京2020オリンピックでひと際脚光を浴びたことは記憶に新しい。柔道女子52㎏級で五輪の頂点に立った阿部詩選手は、両肩の怪我、その手術とリハビリを乗り越え、去る10月の世界選手権でも自身3度目の優勝を飾ったのである。弱冠22歳の金メダリストはいかにして心身を鍛え抜き、快挙を成し遂げたのか。常日頃、日本体育大学柔道部で指導に当たる小嶋新太監督と共に、これまでの努力と苦難の道のりを辿りながら、勝負に挑む極意や大切にしている人生信条に迫った。
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東京2020オリンピック柔道女子52㎏級金メダリスト
阿部 詩
あべ・うた
平成12年兵庫県生まれ。兄・一二三の影響で5歳の時から柔道を始める。夙川学院中学・高校を卒業後、31年日本体育大学入学。現在、4年生。階級は52㎏級、段位は5段。27年グランプリ・デュッセルドルフを制し、史上最年少の16歳225日でIJFワールド柔道ツアー優勝を果たす。30年、令和元年に世界選手権2連覇。3年東京2020オリンピックで史上初の兄妹同日金メダルを獲得。パリオリンピックでの2連覇を目指している。
日本体育大学柔道部女子監督
小嶋新太
こじま・あらた
昭和50年神奈川県生まれ。父親の影響で小学校高学年から柔道を始める。柔道の私塾・講道学舎に入門し、弦巻中学・世田谷学園高校を経て、日本体育大学へ進学。卒業後、平成10年綜合警備保障に入社。11年全日本実業柔道個人選手権大会で優勝。12年日本体育大学大学院体育科学研究科体育科学専攻修了(医学博士)。現役引退後は全日本男子ジュニアコーチなどを歴任し、28年より日本体育大学柔道部女子監督を務める。