かつて日本の子供たちは、よく童謡を歌っていた。学校でも童謡が歌われ、テレビやラジオからも童謡が流れていた。近年、そういう環境が廃れてきている。それが子供たちの心の成育に影響を及ぼしていることはないだろうか、生活の中にもう一度童謡を取り戻すことが、現在の日本の様々な問題を突破する契機になるのではないか——。童謡の力を信じて、童謡の普及に尽力されている日本国際童謡館館長・大庭照子さんと日本童謡学会理事長・海沼 実氏に語り合っていただいた。
日本童謡学会理事長
海沼 実
かいぬま・みのる
昭和47年東京都生まれ。幼少期から祖父・海沼實が創設した合唱団「音羽ゆりかご会」の一員として童謡に親しんで育つ。明治大学文学部卒業。NHKラジオ「ラジオ深夜便」に出演。新聞コラムの執筆、講演の他、音楽指導者の育成にも携わる。日本歌手協会理事、日本ペンクラブ会員。平成30年より現職。著書に『海沼実の唱歌 童謡読み聞かせ1、2』(東京新聞出版局)などがある。
日本国際童謡館館長
大庭照子
おおば・てるこ
昭和13年熊本県生まれ。35年フェリス女学院短期大学音楽科声楽科専攻科卒業。46年NHK「みんなのうた」で『小さな木の実』を歌い童謡の道へ進み、翌年「大庭照子のスクールコンサート」を全国で開催。3,000校以上の学校を回る。50年大庭音楽事務所設立。平成6年熊本・阿蘇に日本国際童謡館を設立、館長となり、11年にNPО法人の認可を受ける。著書に『「小さな木の実」とともに』(家の光協会)がある。