目の前に助けを求める人が現れた時、後先を考えず手を差し伸べられる大人はどれほどいるだろう。網膜硝子体手術の分野で世界でも屈指の腕を持つ服部匡志医師は、病に苦しむ異邦人の声を聞き、自ら仕事を捨て海を渡った。以来20年、現地の貧しい患者たちに無報酬、時に自腹で手術を行い、後進を育ててきた。その愚直なまでの継続に、真に実りある人生とは何かを考えさせられる。
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アジア失明予防の会眼科医
服部匡志
はっとり・ただし
昭和39年大阪府生まれ。平成5年京都府立医科大学卒業後、同大附属病院を経て日本各地の病院で研鑽を積む。14年ベトナム・ハノイにある国立眼科病院で治療、スタッフ指導を始める。15年後援団体「アジア失明予防の会」が発足。26年ベトナム政府より外国人に贈られる最高位の「友好勲章」を受章。27年京都府立医科大学特任教授。令和4年「マグサイサイ賞」受賞。著書に『人間は、人を助けるようにできている』(あさ出版)がある。