人間は誰しも他人からは窺い知れない悲しみを抱えて生きている。そう語る髙木慶子さんは、死にゆく人々をサポートするターミナルケアや、愛する人と死別した人々を支えるグリーフケアに長年取り組んできた。一方の岩朝しのぶさんは、いまや要保護児童が全国で4万5,000人に上る児童虐待の現状を憂えて、家庭環境に恵まれない子供たちの支援に奔走している。それぞれの立場で人間の悲しみと向き合ってきたお二人に、思うにまかせない人生の中から光を見出す道について語り合っていただいた。
生と死を考える会、全国協議会会長
髙木慶子
たかき・よしこ
熊本県生まれ。聖心女子大学文学部心理学科卒業。上智大学神学部修士課程修了。博士(宗教文化)。終末期にある人々のスピリチュアルケア、及び悲嘆にある人々のグリーフケアに取り組む。現在、上智大学グリーフケア研究所特任所長、生と死を考える会全国協議会会長、日本スピリチュアルケア学会理事長などを務める。著書に『それでもひとは生かされている』(PHP研究所)『「ありがとう」といって死のう』(幻冬舎)など。
日本こども支援協会、代表理事
岩朝しのぶ
いわさ・しのぶ
宮城県生まれ。企業経営を経て、平成22年日本こども支援協会設立。自身も里親として女児を養育する傍ら、児童養育施設や里親の支援をしながら社会養護の現状や里親制度の啓発に取り組む。その他、虐待防止活動、母子家庭支援、父子家庭支援、育児相談、震災孤児・遺児支援活動にも尽力している。