2025年12月号
特集
涙を流す
一人称
  • カウンセラー・コーチ結星蓉子

いまを輝かせて
生きる

結星蓉子さんは、2002年、愛娘と突然の別れを経験した。400万~800万人に1人が発症すると言われ、1年でおよそ10歳分老化が進む難病「プロジェリア」。治療法のないこの病を抱え、健気に生きる娘に、若き母は必死で伴走した。しかし娘亡き後、今度は自らの体に異変が起き始める。数々の悲痛を通じて結星さんが見出した、いまを輝かせる生き方。

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    すべては必然、偶然はない

    一人娘のが8歳でこの世を旅立って、23年になります。長いようで、振り返ればあっという間だったとも感じます。

    里紗は、800万人に1人とも言われる難病を伴って生まれてきました。当初は「なんで私が」「何か悪いことした?」という思いでいっぱいでしたが、歳月を経て、いまはこう確信しています。

    「すべての経験が、私に必要なものだった」

    私は2022年より、カウンセラー・コーチとして活動しています。最もつらい時に出合った心の学びによって、人生を生き直すことができた体験を基に、何があっても自分らしく生き、望む未来を叶えるためのマインドづくりを、セミナーや講演、個人セッションを通してお伝えしています。

    以前の私は、娘を難病で亡くした自分を心のどこかで不幸な人、可哀想な人だと感じていました。ですから何に取り組んでも苦しく、うまくいきませんでした。自分に貼ったレッテルが、その通りの現実を引き寄せていたのです。

    そうではなく、不幸と思うその経験があったからこそ、得られたものは何かと考えてみることです。この視点に立てた時、見える景色が一変しました。

    何年経っても、娘との日々を思い返すと涙があふれます。それでもあの体験がなければ、自分の心と向き合うこともなく、いまの私はなかったでしょう。すべては必然で、偶然はないのだと思います。

    カウンセラー・コーチ

    結星蓉子

    ゆいぼし・ようこ

    昭和44年千葉県生まれ。平成5年に娘の里紗さんを出産。ピアノ講師として活動しながら、2歳で難病「プロジェリア」の診断を受けた娘の子育てに奔走。現在は「人生は自分次第で変えられる」をモットーに、カウンセラー・コーチとしてセミナーや講演などを行う。米国NLP協会認定マスタープラクティショナー。