iPS細胞と宇宙開発——共に人類の知恵と夢が詰まった、未来を開く重要な鍵である。それぞれの分野で道を切り拓き、世界が注目する業績を上げてきた山中伸弥氏と野口聡一氏。折しも今年(2022)、山中氏は12年務めた京都大学iPS細胞研究所所長を退任し、野口氏は3度の宇宙飛行を経てJAXAを退職し、新たな挑戦と創造のスタートラインに立った。私たちは何のために生き、何のために働くのか。そして、人類はどこに向かおうとしているのか。最先端の仕事に挑む2人の科学者が語り合う〝体験的人生論&仕事論〟に生き方の法則を学ぶ(本対談は7月下旬、当初は京都大学iPS細胞研究所で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、やむを得ずオンライン開催となった)。
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京都大学iPS細胞研究所名誉所長
山中伸弥
やまなか・しんや
昭和37年大阪府生まれ。62年神戸大学医学部卒業後、整形外科医を経て研究の道へ。平成5年大阪市立大学大学院医学研究科修了。アメリカのグラッドストーン研究所に留学後、大阪市立大学医学部助手、奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター助教授及び教授、京都大学再生医科学研究所教授などを歴任。18年にマウスの皮膚細胞から、19年にヒトの皮膚細胞からそれぞれ世界で初めてiPS細胞の作製を発表。22年京都大学iPS細胞研究所所長。24年ノーベル生理学・医学賞受賞。令和2年(公財)京都大学iPS細胞研究財団理事長。4年4月京都大学iPS細胞研究所名誉所長に就任。著書に『挑戦常識のブレーキをはずせ』(藤井聡太氏との共著/講談社)など。
宇宙飛行士
野口聡一
のぐち・そういち
昭和40年神奈川県生まれ。平成3年東京大学大学院工学系研究科航空学専攻修士課程修了後、石川島播磨重工業(現・IHI)入社。8年宇宙飛行士候補者に選抜され、NASDA(現・JAXA)入社。17年スペースシャトル「ディスカバリー号」で国際宇宙ステーションに滞在、3度の船外活動をリーダーとして行う。21年ソユーズ宇宙船に船長補佐として搭乗。令和2年日本人で初めてアメリカ民間企業スペースX社の宇宙船に搭乗。約5か月半の滞在中、4度目の船外活動や日本実験棟「きぼう」で様々なミッションを実施。3年東京大学先端科学技術研究センター特任教授。4年5月合同会社未来圏設立、代表就任。同年6月JAXA退職。著書に『野口聡一の全仕事術』(世界文化社)など。