日本人の道徳心やモラルの崩壊が叫ばれて久しい。それはそのまま国力衰退の要因ともなっている。しかし、約150年前、明治維新を成し遂げ西欧列強を凌駕するほどの影響力を及ぼす日本の姿があった。その背景に、明治人の修養精神があったことは明らかである。いまの日本の混迷の原因はどこにあるのか、そして私たちは先人たちに何を学ぶべきなのか。文芸批評家の新保祐司氏と、文藝評論家の小川榮太郎氏に語り合っていただいた。
文芸批評家
新保祐司
しんぽ・ゆうじ
昭和28年宮城県生まれ。東京大学文学部卒業。『内村鑑三』(文春学藝ライブラリー)で新世代の文芸批評家として注目される。文学だけでなく音楽など幅広い批評活動を展開。平成29年度第33回正論大賞を受賞。著書に『明治頌歌—言葉による交響曲』(展転社)『明治の光 内村鑑三』『「海道東征」とは何か』(共に藤原書店)など多数。
(文藝評論家)
小川榮太郎
おがわ・えいたろう
昭和42年千葉県生まれ。大阪大学文学部卒業、埼玉大学大学院修士課程修了。専門は近代日本文学、19世紀ドイツ音楽。著書に『小林秀雄の後の二十一章』(幻冬舎)『「保守主義者」宣言』(育鵬社)『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎文庫)など多数。日本平和学研究所理事長。平成29年度正論新風賞受賞。令和6年季刊誌『湊合』を創刊。