弘法大師として日本人に親しまれる空海。若い頃から厳しい行と学問に励み、唐ではインド伝来の密教の法を嗣ぎ、日本で真言密教を確立した。若き日に抱いた衆生救済の志を貫いたその62年間の歩み、そしてその教えの要諦を、高野山真言宗管長を務められた松長有慶氏と、仏教研究の第一人者である東洋大学学長・竹村牧男氏に語り合っていただいた。
高野山真言宗前管長
松長有慶
まつなが・ゆうけい
昭和4年年和歌山県生まれ。高野山大学密教学科卒業。東北大学大学院文学研究科インド学仏教史学専攻博士課程修了。高野山大学教授、学長、密教文化研究所長、高野山金剛峯寺第四一二世座主、高野山真言宗管長、全日本仏教会会長などを歴任。主な著書に『祈り』『空海 般若心経の秘密を読み解く』(ともに春秋社)『密教』『高野山』(ともに岩波新書)など多数。
東洋大学学長
竹村牧男
たけむら・まきお
昭和23年東京都生まれ。東京大学卒業後、文化庁専門職員、三重大学助教授、筑波大学教授、東洋大学教授を経て、平成21年より東洋大学学長。専攻は仏教学・宗教哲学。著書に『日本仏教思想のあゆみ』『入門 哲学としての仏教』(ともに講談社)『〈宗教〉の核心』(春秋社)など多数。