世界有数の大都市・東京。巨大な建造物が林立し、日々大勢の人が行き交うこの場所が、かつて水害の多発する低湿地帯であったことを意識する人は少ない。この厳しい状況下で町の基盤づくりに奮闘し、今日の1,000万都市の礎を築いたのが、江戸幕府代官頭の伊奈忠次である。災害の多発するいま、この優れた先達から学ぶものについて、江戸幕府の成立過程に詳しい和泉清司に伺った。
高崎経済大学名誉教授
和泉清司
いずみ・せいじ
昭和19年東京都生まれ。37年明治大学大学院博士課程単位修得、史学博士。高崎経済大学地域政策学部教授。平成22年退官、同大学名誉教授。著書に『伊奈忠次文書集成』(文献出版)『徳川幕府領の形成と展開』(同成社)『江戸幕府代官頭 伊奈備前守忠次』(埼玉新聞社)他多数。