「諸経の王」と呼ばれ、古来多くの人が感化を受けてきたという『法華経』。専門の物理学から転じた異色の仏教思想研究家・植木雅俊氏もその一人である。かつて失意の底にあった氏が、『法華経』から掴み取ったもの、そしていまを生きる私たちが学ぶべきものは何か──。
仏教思想研究家
植木雅俊
うえき・まさとし
昭和26年長崎県生まれ。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。平成3年より東方学院にて中村元氏のもとでインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。14年お茶の水女子大学で人文科学博士号取得。20年『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上下(岩波書店)で第62回毎日出版文化賞受賞。著書に『法華経とは何か その思想と背景』(中公新書)、訳書に『サンスクリット版縮訳 法華経現代語訳』(角川ソフィア文庫)など多数。