正月の風物詩として知られ、いまや国民的行事になっている箱根駅伝。大学三大駅伝の一つで、東京・箱根間を往復し、全217.1キロを10人で襷を繋いで走り抜く。第97回を迎えた今大会、奇跡的な大逆転劇を起こし、13年ぶり7度目の優勝を飾ったのが駒澤大学陸上競技部である。26年間にわたって同部を指導している大八木弘明監督に、箱根の激戦を振り返りつつ、選手時代に得た学び、忘れ難き恩師の教え、弱小集団を常勝軍団に育て上げた要諦を語っていただいた。そこから見えてくる強いチームを創るリーダーの哲学とは——。
駒澤大学陸上競技部監督
大八木弘明
おおやぎ・ひろあき
昭和33年福島県生まれ。52年福島県立会津工業高等学校卒業後、小森印刷(現・小森コーポレーション)入社。56年川崎市役所入所。58年24歳で駒澤大学夜間部に進学。3度の箱根駅伝出場(2度の区間賞)を果たす。卒業後はヤクルトで競技生活を続け、平成7年から母校駒澤大学陸上競技部コーチに就任。以後、箱根駅伝4連覇を含め、数々の大会で優勝を果たし、「平成の常勝軍団」と呼ばれるまでに育て上げる。14年助監督、16年監督に就任。令和3年箱根駅伝で13年ぶり7度目の優勝に輝いた。著書に『駅伝・駒澤大はなぜ、あの声でスイッチが入るのか』(ベースボールマガジン社)など。