江戸時代、人間の本質を突き詰め、人としての道を庶民に説き続けた2人の先哲がいた。「近江聖人」と仰がれた中江藤樹と「石門心学」の祖とされる石田梅岩である。日本精神の礎となった2人の足跡は、混迷を続けるいま日本人に一筋の光明となるものである。2人の先哲の生き方について東洋思想研究家の田口佳史氏と、国際中江藤樹思想学会理事長・中江彰氏に語り合っていただいた。
東洋思想研究家
田口佳史
たぐち・よしふみ
昭和17年東京都生まれ。新進の記録映画監督としてバンコク市郊外で撮影中、水牛2頭に襲われ瀕死の重傷を負う。生死の狭間で『老子』と運命的に出会い、「天命」を確信し、東洋思想研究に転身。「東洋思想」を基盤とする経営思想体系「タオ・マネジメント」を構築・実践し、1万人超の企業経営者や政治家らを育て上げてきた。配信中の「ニュースレター」は英語・中国語に翻訳され、海外でも注目を集めている。主な著書(致知出版社刊)に『「大学」に学ぶ人間学』『「書経」講義録』他多数。
国際中江藤樹思想学会理事長
中江 彰
なかえ・あきら
昭和28年大阪府生まれ。佛教大学文学部史学科卒。花園大学大学院文学研究科修士課程修了(仏教学)。近江聖人中江藤樹記念館館長を経て現在国際中江藤樹思想学会理事長。著書に『中江藤樹一日一言』『中江藤樹人生百訓』(共に致知出版社)『中江藤樹のことば』(登龍館)など。