いまを遡ること約100年前。無名の日本人女性が英語で著した自伝的小説が、世界7か国で翻訳される大ベストセラーとなった。旧長岡藩家老の娘・杉本鉞子の『武士の娘』である。この名著の裏には、日米の架け橋となった彼女の波乱と愛に満ちた生涯があった。2016年、同著の全編新訳を担った翻訳家の小坂恵理さんに、そこで見えてきた生き方の知恵をお話しいただいた。
翻訳家
小坂恵理
こさか・えり
昭和29年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学科を卒業後、10年にわたりテレビの2か国語ニュースの日英翻訳を担当。その後出版翻訳者となり、約15年で手掛けた作品は『新訳 武士の娘』(PHP研究所)の他多数に上る。