2020年1月号
特集
自律自助
  • 詩人堀江菜穂子

詩は私のいのちそのもの

堀江菜穂子さん、25歳。脳性麻痺のために話すことも思うように体を動かすこともできない。しかし、堀江さんはベッドに寝たきりの生活を送りながら、これまで筆談により数多くの詩を紡いできた。詩作によって自らの可能性を大きく広げ、人々に生きる勇気を与え続ける堀江さんの生き方。

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この記事は堀江菜穂子さんが筆談を通して語られた内容を、編集部で纏めたものです。

生きる勇気を与える〝声なき詩人〟

私は脳性麻痺まひのために、生まれてから今日までの25年間、ほぼベッドに寝たきりの生活を続けてきました。思うように体が動かず、言葉も発せられないので、意思がないように思われがちですが、実際には話したいこと、伝えたいことがたくさんあります。それを受け止めてもらえることは何よりの喜びです。

私の書いた詩が新聞に掲載されて大きな反響を呼び、2017年には『いきていてこそ』(サンマーク出版)という詩集を出していただきました。脳性麻痺とたたかう“声なき詩人”として注目を浴びるようになり、私の詩のいくつかには曲がつけられ歌や合唱曲にもなりました。コンサートで初めて歌を聴いた時は、私の詩なのに私の詩ではないような不思議な感覚に魂が震えました。

詩集を読んだ方や曲を聴いた方から「菜穂ちゃんの詩に勇気をもらった」「生きる意味を教えられた」などと言ってもらえた時は本当に嬉しいです。

これまでつくった詩はどのくらいになるでしょうか。数えていないので分かりませんが、おそらく2,000点を大きく超えていると思います。いまは週に1回、筆談できる女性が自宅に来てくださいますので、多い時には2時間で30点くらいの作品を纏めてつくったりします。書くスピードがとても早くて驚かれるのですが、「やはり違うな」と思って修正しているうちに、アッと言う間に時間が過ぎてしまい、なかなか書き切れないのが残念です。

詩人

堀江菜穂子

ほりえ・なおこ

平成6年茨城県生まれ。出産時のトラブルで重度の脳性麻痺を患う。東京都立特別支援学校中学部の頃に詩作を始める。詩集に『いきていてこそ』(サンマーク出版)。