看脚下、己の足下を見よ――。禅の名問答に由来する訓戒である。慌ただしい日常に翻弄されがちな私たち現代人が、各々の原点を見失うことなく、実り多い人生を創造していくには、いかにすればよいだろうか。修行の世界に身を置き禅の神髄を追求し続けてきた横田南嶺氏と、学問の世界から禅と向き合ってきた小川 隆氏に、異なる角度から見た禅の魅力を交えながら、この名言が教えてくれるものについて語り合っていただいた。
臨済宗円覚寺派管長
横田南嶺
よこた・なんれい
昭和39年和歌山県生まれ。62年筑波大学卒業。在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。22年臨済宗円覚寺派管長に就任。29年12月花園大学総長に就任。近著に『自分を創る禅の教え』、共著に『生きる力になる禅語』(ともに致知出版社)がある。
駒澤大学総合教育研究部教授
小川 隆
おがわ・たかし
昭和36年生まれ。岡山県出身。58年駒澤大学仏教学部禅学科卒業。昭和61年~平成元年日中政府交換留学生として北京大学哲学系高級進修生。平成2年同大学院仏教学専攻博士課程単位取得。現在、駒澤大学総合教育研究部教授。文学博士(東京大学、平成21年)。著書に『「臨済録」─禅の語録のことばと思想』(岩波書店)『禅思想史講義』(春秋社)など。なお、横田南嶺師解説の釈宗演著『禅海一瀾講話』(岩波書店)の校注も務めた。