今年(2024年)創刊46周年になる『致知』の歴史は、人との出逢いの歴史である。直接に、あるいは書物を通して、実にたくさんの人と出逢い、その人生に触れてきた。中には、こんな苛酷な運命をよくも切り抜けてきたものだ、と感嘆させられる人もいた。作家の三浦綾子さんもそのお一人である。
『新約聖書』の中にこういう言葉がある。
「患難は忍耐を生み、忍耐は錬達を生み、錬達は希望を生む。そして希望は失望に終わることはない」
平成6年、三浦さんを取材した折に教わった言葉である。この言葉通りの人生が三浦さんの人生であったのだ。