日本を取り巻く安全保障の現状は年々厳しさを増すばかりである。
一方、それに対する国民の危機意識は極めて低いという他ない。私たちは直面する危機をいかに克服し、2050年に向けて、どう未来をひらいていくべきなのか。航空自衛隊空将を務めた織田邦男氏と陸上自衛隊陸将を務めた番匠幸一郎氏に、指揮官としての長年の経験を踏まえて語り合っていただいた。
元航空自衛隊空将
織田邦男
おりた・くにお
昭和27年愛媛県生まれ。49年防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊。F4戦闘機パイロットなどを経て、58年米国の空軍大学へ留学。平成2年第301飛行隊長、4年米スタンフォード大学客員研究員、11年第6航空団司令、航空幕僚監部防衛部長などを経て、17年空将。18年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部隊指揮官)。21年航空自衛隊退職。東洋学園大学客員教授を経て現在麗澤大学特別教授。著書に『空から提言する新しい日本の防衛』、共著に『日本を滅ぼす簡単な5つの方法』(共にワニ・プラス)など。
元陸上自衛隊陸将
番匠 幸一郎
ばんしょう・こういちろう
昭和33年鹿児島県出身。55年防衛大学校卒業、陸上自衛隊入隊。第一線部隊勤務などを経て、平成12年米国陸軍戦略大学卒業。第三普通科連隊長兼名寄駐屯地司令、第一次イラク復興支援群長、幹部候補生学校長、陸上幕僚監部防衛部長、陸上幕僚副長、西部方面総監などを歴任し、27年退官。30年まで国家安全保障局顧問。現在は防衛大臣政策参与、拓殖大学特任教授、政策研究大学院大学客員教授、全日本銃剣道連盟会長などを務める。共著に『核兵器について、本音で話そう』(新潮新書)『失敗の本質を超えて』(日本経済新聞出版)など。