私立学校の評価が現在ほど芳しくなかった62年前、異業種から渋谷教育学園へ転じた田村哲夫氏は、35歳の若さで理事長、校長に就任するや、様々な学校改革に取り組み、その後創立した中高一貫校を、時を経ずして首都圏屈指の進学校に育て上げた。米寿を迎えたいま、なおも教壇に立ち生徒と向き合う情熱の源は何か。松下政経塾と青年塾を通じて長年人間教育に尽力してきた上甲晃氏に、教育の道をひたすら前進し続ける田村氏の思いに迫っていただいた。
渋谷教育学園理事長、学園長
田村哲夫
たむら・てつお
昭和11年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、住友銀行(現・三井住友銀行)へ入行。37年渋谷教育学園理事。45年同学園理事長、58年共学の幕張高等学校、61年同中学校を開校し中高一貫校として校長に就任。その後それまであった渋谷女子中学校・同高等学校を平成11年に共学の中高一貫校として校長に就任。教育改革国民会議、中央教育審議会等の委員を歴任。著書に『伝説の校長講話』(中央公論新社)、訳書に『アメリカの反知性主義』(みすず書房)等がある。
志ネットワーク「青年塾」代表
上甲 晃
じょうこう・あきら
昭和16年大阪市生まれ。40年京都大学教育学部卒業と同時に、松下電器産業(現・パナソニック)入社。56年松下政経塾に出向。理事・塾頭、常務理事・副塾長を歴任。平成8年松下電器産業を退職、志ネットワーク社を設立。翌年青年塾を創設。著書に『志のみ持参』『松下幸之助に学んだ人生で大事なこと』『人生の合い言葉』など。最新刊に『松下幸之助の教訓』(いずれも致知出版社)。