日本を代表する書家の一人である井茂圭洞氏は、米寿を迎えるいまも日々創作に余念がない。長年、伝統的な書の美しさに現代的な独自の美的感覚を備えた書法の探究を続けつつも、「自分で納得できた作品は、いまもってほとんどない」と語る。限りなき道を前進し続ける井茂氏に、書に懸ける思いをお聞きした。
「しき島の大和ごゝろを人とはヾ朝日に匂ふ山桜花」(大和心/本居宣長)
書家
井茂圭洞
いしげ・けいどう
昭和11年兵庫県生まれ。京都学芸大学(現・京都教育大学)卒業後、私立芦屋女子高等学校、京都教育大学で教鞭を執りながら、書家として活躍。52年、54年には日展で特選受賞、平成13年日展内閣総理大臣賞受賞。現在、日本芸術院会員、日展顧問、一東書道会会長、京都教育大学名誉教授、読売書法会最高顧問などを務める。令和5年文化勲章受章。著書に『井茂圭洞 かなの美韻 白梅帖』(美術新聞社)など。