2020年7月号
特集
百折不撓
インタビュー②
  • 箕面自由学園高等学校チアリーダー部監督野田一江

ピンチはチャンス

最高をイメージして這い上がれ!

チアリーディングの甲子園といわれるジャパンカップで9連覇、合計30回以上もの全国制覇を果たしてきた箕面自由学園高等学校チアリーダー部。チーム創設時から指導に携わってきた野田一江氏は、チアリーディング未経験の音楽教師だったという。全国屈指の強豪校を育て上げてきた指導哲学を、新型コロナウイルスの蔓延という危機下での取り組みも含めて伺った。

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150%の練習をしなければ本番で100%の力は出せない

——野田さんの率いる箕面みのお自由学園高校のチアリーダー部、通称「ゴールデンベアーズ」は、チアリーディングの甲子園といわれるジャパンカップ高校部門での9連覇を含め、合計35回も全国制覇を果たしてこられたそうですね。

ちゃんと数えてはいませんけど、たぶんそのくらいになると思います(笑)。ジャパンカップや高校選手権大会といった全国大会以外にも、西日本大会、関西大会、アジア大会など、たくさんの大会に出させていただいていますから、全部足したらもっとすごい数になりますね。
大会ばかりでなく、もともとはアメフトの応援のために結成したチームなので、いまも応援には必ず行っていますし、他にも毎週何かしらのイベントに参加していて、活動はとても充実しています。

——『致知』では以前チアダンスの記事を紹介しましたが、チアリーディングは別の競技なのですね。

チアダンスは基本的にダンスですが、チアリーディングはチア・サイドラインといった掛け声やアームモーション、特殊なジャンプ、タンブリング、組体操技術であるパートナースタンツやピラミッドなどアクロバティックな技の連続で、大会ではこれを2分20秒から2分30秒という時間の中で表現するんです。これよりわずかに長くても短かくても減点になります。

——演技を拝見しましたが、皆さん見事に呼吸が合っていますね。

動画をチェックしては、ひたすら反復練習して仕上げていくんです。本番は緊張しますから出せる力はせいぜい8割。普段から150%出すつもりで練習しておかないと、100%のパフォーマンスは絶対にできません。「限界を超えるような練習をしなさい」といつも言っています。

——-部員数はどのくらいですか。

2、3年生が52名で、この春に加わった新入生が21名です。創部の頃は未経験の子ばかりでしたけど、7~8年前からKIDSキッズチームのチア競技者が増加したので、この1~2年はほとんどが経験者です。

——実力が伯仲はくちゅうする中で、選手に選ばれるのは大変でしょうね。

うちはAからDまで4つにチーム分けしています。ジャパンカップで優勝を目指しているAチームは16人ですが、大会ではそこに入れなかったB、Cチームの子も出場できるディビジョン2部門というのもあって、予選を通過すれば最大3チーム出ることが可能なんです。ディビジョン2でも優勝を目指しているので、A以外の子でも技術は高いんです。

箕面自由学園高等学校チアリーダー部監督

野田一江

のだ・かずえ

大阪府生まれ。同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業後、クラリネット奏者として活動。平成2年音楽の非常勤講師として箕面自由学園高等学校に着任。3年チアリーダー部創設に際し、〝チア経験ゼロ〟で指導を始める。ジャパンカップ9連覇を含む、全国優勝30回以上の常勝チームをつくり上げる。