一心万変に応ず──何かの折に心に留め、手帳に記していた言葉である。先日、安岡正篤著『経世の書「呂氏春秋」を読む』(弊社刊)を紐解いていてこの言葉を見つけた。原典は明らかにされていないが、安岡師は概要こう述べられている。
「人間世界のことは色々様々で、いわゆる万変で際限がない。ことに人生の出来事というものは矛盾衝突が多く、なかなか思うようにいかないが、そういう時に一応自分の心ができておると、いかなる変化が生じても何とかやっていける。それが〝一心万変に応ず〟ということだ」
自分の心さえ調い定まっていれば、また養っていれば、人生のどのような変化にも処していける、と先師は教えてくれている。
この〝一心万変に応ず〟に関連して、いまも鮮烈に胸に響いてくる一語がある。昨年の弊社新春大会で鈴木秀子先生が話された言葉である。