〝鬼門〟――柔道界では世界の強豪がひしめき、日本選手が長く苦杯を嘗めてきた階級をそう呼んでいる。その最難関である男子81㎏級で五輪二連覇の偉業を成した永瀬貴規氏は、歓喜の瞬間も表情を崩さず、礼に徹する姿が称賛を集めた。しかし、その栄光の陰には並々ならぬ精進の日々があったという。氏はいかなる信念の下で、柔の道に向き合っているのだろうか。
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パリ2024オリンピック男子柔道81㎏級金メダリスト
永瀬貴規
ながせ・たかのり
平成5年長崎県生まれ。6歳で柔道を始め、小・中学生時代に全国大会へ出場、頭角を現す。長崎日本大学高等学校1年次に81㎏級で全国優勝を収め、27年筑波大学2年次に国公立大学初となる全日本優勝を牽引。同年世界選手権にて81㎏級では日本選手初の優勝を果たす。28年旭化成所属、リオ五輪銅メダル。令和3年東京五輪で優勝、6年パリ五輪で2連覇を飾る。