転倒や交通事故などの外傷によって、脳の周りを循環する脳脊髄液が漏れ出し、激しい頭痛や嘔吐、全身の倦怠感といった様々な症状に苦しめられる脳脊髄液減少症。近年ようやく世間に認知され始めた症例だが、かつては”医学的にあり得ない”とされ、社会的無理解や国からの支援も全く望めない状況だった。自身も脳脊髄液減少症との10数年にわたる壮絶な闘病を経験しながら、国との交渉など患者救済にも力を尽くしてきた中井 宏氏に、その苦難の歩みと心の支えとしてきた読者体験について語っていただいた。
認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者、家族支援協会代表理事
中井 宏
なかい・ひろし
昭和39年和歌山県生まれ。工業高校卒業後、大手電力直系会社入社。64年に同社を退職し、カナダ・イギリスなどに留学。その頃から原因不明の体調不良に悩まされ、10数年に及ぶ闘病生活を経験する。平成14年に脳脊髄液減少症と診断されたことで、「認定NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」を設立し、代表理事に就任。以後、患者救済のために尽力してきた。