『老子』の教えは癒しの哲学。そう語るのは精神科医として45年間、多くの患者と対話してきた野村総一郎氏である。『老子』の提唱する「人と比べない生き方」は、固定の価値観に囚われてしまった病める人々の心にスッと沁み込むという。ジャッジフリーという野村氏独自の考え方をキーワードとして『老子』の思想を紐解いていただいた。
精神科医、六番町メンタルクリニック名誉院長
野村総一郎
のむら・そういちろう
昭和24年広島県生まれ。慶應義塾大学医学部を卒業後、テキサス大学、メイヨー医科大学に留学。帰国後、藤田保健衛生大学精神医学室助教授、国家公務員共済組合連合会立川病院神経科部長。平成9年防衛医科大学校教授、24年防衛医科大学校病院病院長に就任。27年六番町メンタルクリニックを設立し、院長に就任。18年から現在まで、『読売新聞』の「人生案内」での回答者も務める。著書に『人生に、上下も勝ち負けもありません』(文響社)など多数。