iPS細胞の作製に世界で初めて成功した山中伸弥氏がノーベル賞を受賞したのは2012年のこと。その記者会見で、「まだ一人の患者さんも救っていない」と語ったが、あれから12年、iPS細胞技術が医療に実用化される日は確実に近づいている。iPS細胞から作製した免疫細胞を使ってがん免疫再生治療を目指す金子 新氏の研究がその一つだ。
(公財)京都大学iPS細胞研究財団アドバイザーの髙田 明氏に、プロジェクトの現状と今後の可能性、物事を成就する秘訣、これまでの研究人生を貫いてきたものについて迫っていただいた。
京都大学iPS細胞研究所教授
金子 新
かねこ・しん
昭和45年愛媛県生まれ。平成7年筑波大学医学群を卒業後、筑波大学附属病院に勤務。10年筑波大学大学院医学研究科博士課程入学、14年博士号取得(医学)。同大学院血液病態制御医学(血液内科)講師、サンラファエレ科学研究所(ミラノ)研究員、東京大学医科学研究所幹細胞治療分野助教を経て、24年より京都大学iPS細胞研究所准教授、令和2年より同研究所教授、筑波大学医学医療系がん免疫研究分野教授を兼任。4年4月から6年3月まで同研究所副所長。
「MyT-Serverプロジェクト」の詳細やがん免疫再生治療の効果を金子氏が解説している動画〈3分間ダイジェスト版〉を視聴(https://m.youtube.com/watch?v=hrjgwkKx878)
A and Live代表取締役
髙田 明
たかた・あきら
昭和23年長崎県生まれ。46年大阪経済大学卒業後、阪村機械製作所に入社し、海外勤務を経験。49年実家のカメラ店「㈲カメラのたかた」に入り、61年分離独立して「㈱たかた」を設立。平成2年に通販事業を開始し、11年社名を「㈱ジャパネットたかた」に変更。27年社長を退任し、「㈱A and Live」を設立。29年サッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長に就任し、同年J1昇格へと導く(令和2年退任)。著書に『髙田明と読む世阿弥』(日経BP)『まかせる力』(新将命氏との共著/SBクリエイティブ)など。