俳聖・松尾芭蕉。若き日、武士として生きることを諦めて俳諧を生業とすることを決め、その後、命懸けの漂泊の旅を通して俳諧を道として突き詰めていった芭蕉の歩みは、毎日が覚悟の連続だったといってよい。長年、禅の立場から芭蕉を探究、今年(2022)卒寿を迎えた境野勝悟氏と、能楽という視点で芭蕉の本質を追究してきた安田 登氏に、芭蕉の生き方や、その求めた世界について縦横に語り合っていただいた。
この記事は約26分でお読みいただけます
東洋思想家
境野勝悟
さかいの・かつのり
昭和7年神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、私立栄光学園で18年間教鞭を執る。48年退職。こころの塾「道塾」開設。駒澤大学大学院禅学特殊研究博士課程修了。著書に『日本のこころの教育』『源氏物語』(共に致知出版社)『芭蕉のことば100選』『超訳法華経』(共に三笠書房)など多数。
下掛宝生流ワキ方能楽師
安田 登
やすだ・のぼる
昭和31年千葉県生まれ。高校教師時代に能楽と出合い、ワキ方の重鎮・鏑木岑男師の謡に衝撃を受け27歳で入門。現在は、ワキ方の能楽師として国内外を問わず活躍し、能のメソッドを使った作品の創作、演出、出演などを行う。『身体感覚で「論語」を読みなおす。』(新潮文庫)『NHK100分de名著 平家物語』(NHK出版)『野の古典』(紀伊國屋書店)など著書多数。最新刊に『魔法のほね』(亜紀書房)。