寧静致遠──。
遥か遠くにある目的地も、誠実で地道な努力の積み重ねにより到達できるという先人の教えである。夜間教師から研究者に転身、一躍ノーベル賞学者となった大村 智氏は、まさしくこの言葉の神髄を体現する人生を歩んできたと言えよう。本年1月、弊社主催の「新春特別講演会」にてお話しいただいたその一途一心の足跡を、ここにご紹介する。
北里大学特別栄誉教授
大村 智
おおむら・さとし
昭和10年山梨県生まれ。33年山梨大学学芸学部卒業。38年東京理科大学大学院理学研究科修士課程修了。40年北里研究所入所。米国ウエスレーヤン大学客員教授を経て、50年北里大学薬学部教授。㈳北里研究所監事、同副所長等を経て、平成2年北里研究所理事・所長。19年北里大学名誉教授。20年㈳北里研究所と㈻北里学園との統合により㈻北里研究所名誉理事長(現在は特別栄誉教授)。27年ノーベル生理学・医学賞受賞。著書に『人をつくる言葉』『人間の旬』(ともに毎日新聞出版)『自然が答えを持っている』(潮出版社)など。