やめたくてもやめられない――依存症に苦しむ日本人は、アルコール依存者だけで年間10万人に上るという。茨城県南東の海辺に、完治しないとされるこの病からの回復・就労支援を担う施設がある。施設長は栗原豊氏。依存症に蝕まれた前半生から、幾多の出逢いにより救い出された。なぜ、人は苦しむのか。いかなる出逢いが、人生の迷妄を破ってくれるのか。
潮騒ジョブトレーニングセンター理事長
栗原 豊
くりはら・ゆたか
昭和18年埼玉県生まれ。17歳で鑑別所に入って以降、アルコール依存症・薬物依存症などが原因で計7回、通算20年にわたり服役と出所を繰り返す。平成15年60歳の時、担当検事のすすめで鹿島ダルク入所。寮長を務めた後、17年に独立し、茨城県鹿嶋市に「潮騒ジョブトレーニングセンター」を設立。21年NPO法人の認証を受ける。28年73歳で茨城県立鹿島灘高校入学。77歳で早稲田大学人間科学部入学。令和4年第57回社会貢献者表彰を受賞。