2017年9月号
特集
閃き
インタビュー①
  • 青森大学男子新体操部監督中田吉光

男子新体操で
人の心を揺さぶりたい

昨年(2016年)、リオオリンピックの閉会式後に行われたフラッグハンドオーバーセレモニー(引継式)で見事なパフォーマンスを披露し、世界から喝采を浴びた青森大学男子新体操部。監督として同部を15連覇へと導いてきた中田吉光氏に、男子新体操を牽引し、その発展に懸けてきた半生を振り返っていただいた。

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リオで男子新体操を世界にアピール

──昨年は、リオオリンピックの閉会式で、中田監督率いる青森大学男子新体操部が見事なパフォーマンスを披露なさいましたね。

世界の舞台に立つことは夢の夢でしたし、あそこで「青森大学男子新体操部」の名を紹介していただけるとは思ってもいませんでしたから、ビックリしました。世界200か国、20億人の方々が観ていたというあの閉会式で、我われの名と男子新体操をアピールできて本当に嬉しかったですね。
実は、最初にオファーをいただいた時は、15連覇の懸かる全日本学生新体操選手権(全日本インカレ)と時期が重なるので、これはまずいなと躊躇していたんです。しかし、世界の舞台に立ちたいという思いもある。それで選手たちに聞いてみたら、「両方をやり遂げましょう!」と。彼らも同じ思いでしたし、強い決意が感じられたので、「よっしゃ!」と出場を決意したんです。

──演技ではどんな工夫をなさいましたか。

秘密保持契約があるので詳しいことは言えませんが、演出を担当されたMIKIKOさんが、我われの担当するパートをほとんど私に任せてくださったので、全体の構成を踏まえて、企画の意図に沿うように作品をつくりました。普段は室内の体操用マットの上で演技をするんですが、向こうは外の広いグラウンドの上ですから、観客の皆さんにも分かりやすいように、動きの大きさや躍動感のある技を意識して盛り込みました。

──監督からご覧になって、皆さんの演技はいかがでしたか。

納得はしていません(笑)。私は全日本インカレで日本にいたので、テレビで観ていたら、ミスや失敗も思いっ切り画面に映って「こいつら、許さん!」と(笑)。ただ、向こうの治安も心配で、とにかく無事に帰ってきてほしいというのが一番の思いでした。
あのリオの舞台というのは、一生に一度の檜舞台でしたから、そんな場所に立てるご縁に恵まれたことは本当にありがたいことですし、その夢の舞台で立派に演技をして、男子新体操を世界にアピールしてきてくれた選手を誇りに思います。

青森大学男子新体操部監督

中田吉光

なかた・よしみつ

昭和41年青森県生まれ。中学時代に新体操を始め、国士舘大学在学中に全日本新体操選手権大会2連覇。卒業後は大阪府・香川県の高校で教職に就き、新体操部の監督として全国大会優勝5回、準優勝10回に導く。平成14年青森大学に新体操部を創設し監督に就任。1年目で全日本学生選手権に優勝して以来、現在15連覇中。