日本に初めて西洋医学の知見をもたらした『解体新書』の出版から52年後、内容を大幅に改訂した『重訂 解体新書』が発刊された。その改訂に生涯を捧げたのが、蘭学者として、また医者として様々な功績を残した大槻玄沢その人である。今号の特集テーマ「遂げずばやまじ」の言葉を残したと言われる玄沢は、いかに自身の道を切りひらいたのか──その足跡を辿る。
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一関市博物館主幹
相馬美貴子
そうま・みきこ
昭和39年山形県生まれ。山形大学教育学部卒業、平成5年から開館準備段階の一関市博物館(当時は建設対策室)に勤務。近世分野の他、「大槻玄沢と蘭学」「一関と和算」の展示室を担当。19年に「GENTAKU~近代科学の扉を開いた人~」、昨年度は「江戸時代の世界地図」、今年度は「江戸時代の女性たち~武家・農民・商人~」の展覧会を企画担当。一関市博物館は令和4年開館25周年を迎え、同館所蔵の大槻家関係資料が、重要文化財指定の答申を受ける。