アメリカにおいて鈴木大拙博士と並んで「2人の鈴木」と仰がれた仏教者がいる。禅僧・鈴木俊隆老師。2人に面識はないものの、共にアメリカ人に大きな薫陶を与えた。鈴木老師が渡米したのは昭和34年、55歳の時。大拙博士の渡米から62年後のことである。以来、12年にわたって老師が蒔き続けた禅の種は全米各地で芽を出し、禅の生き方、考え方はアメリカに大きなうねりをもたらした。鈴木老師の人生や志について、同じくアメリカで禅の指導に当たった経験を持つ藤田一照氏にお話いただいた(写真:タサハラの禅堂で講義をする鈴木老師(c)サンフランシスコ禅センター)。
曹洞宗国際センター前所長
藤田一照
ふじた・いっしょう
昭和29年愛媛県生まれ。東京大学教育学部を経て同大学院で発達心理学を専攻。博士課程を中退し得度。33歳で渡米し17年間アメリカで禅の普及に努める。平成17年に帰国し、現在神奈川県葉山町を拠点に禅の指導、講演、執筆活動に当たる。22年から29年まで、サンフランシスコにある曹洞宗国際センター所長。著書に『現代坐禅講義』(角川ソフィア文庫)『禅僧が教える考えすぎない生き方』(大和書房)『「禅トレ」で生きるのがラクになる』(世界文化社)など、共著に『感じて、ゆるす仏教』(KADOKAWA)など、訳書に『禅マインド ビギナーズ・マインド2』(サンガ)などがある。