20数年におよぶ認知症の母の壮絶な介護体験から、人々の心を打つ珠玉の詩を紡ぎ出してきた詩人の藤川幸之助氏。次第に記憶と言葉を失っていく母の命に寄り添い続けた藤川氏が語る、人と人が支え合う介護の本質、そして認知症という病が私たちに問いかける人間が生きていることの尊さ――(写真:認知症の母と長崎市さくらの里にて)。
詩人
藤川幸之助
ふじかわ・こうのすけ
昭和37年熊本県生まれ。小学校の教師を経て、詩作・文筆活動に入る。認知症の母親に寄り添いながら命や認知症を題材にした作品をつくり続ける。また、認知症への理解を深めるため全国での講演活動にも取り組んでいる。『満月の夜、母を施設に置いて』『徘徊と笑うなかれ』(共に中央法規)『マザー』『ライスカレーと母と海』(共にポプラ社)など著書多数。