2024年盛夏、遠くパリの都で一組の日本人親子が世界を刮目させた。レスリング女子の藤波朱理選手が初出場にして破竹の勢いで金メダルを獲得。中学時代から途切れない公式戦連勝記録を137に伸ばした。そのコーチであり、2021年に教職を辞して地元三重から上京、娘の夢に人生を懸けてきた父・藤波俊一氏と喜びを分かち合った。勝利へのあくなき執念で結ばれた2人の強さの源を探る。
日本体育大学レスリング部コーチ
藤波俊一
ふじなみ・としかず
昭和39年三重県生まれ。62年日本体育大学卒業後は三重県立いなべ総合学園高校に赴任し、レスリング部設立。ソウルオリンピック日本代表候補選手。平成7年ジュニア選手のための「いなべクラブ」(現いなべレスリングアカデミー)を開設し、世界チャンピオンはじめ数々の選手を育成。令和3年母校日体大レスリング部のコーチとなる。
パリ2024オリンピックレスリング女子53kg級金メダリスト
藤波朱理
ふじなみ・あかり
平成15年三重県生まれ。いなべ総合学園高校卒業、令和4年日本体育大学入学。父・俊一氏の下、4歳からレスリングを開始。令和2年全日本選手権、3年全日本選抜を制し、同年の世界選手権を高校3年生で制覇。6年初出場となるパリ五輪レスリング女子53kg級で優勝。中学2年生より公式戦無敗を保ち、同大会優勝を以て連勝記録を137に伸ばす。