突然の病によって生まれて間もなく光(視力)と音(聴力)を失うという過酷な状況にも決して屈することなく、すさまじい努力と挑戦心で自らの人生を切り拓き、多くの人に生きる希望と勇気を与え続けたヘレン・ケラー。同じ盲ろう者としてヘレン・ケラーを心の支えとしてきた福島智氏に、〝奇跡の人〟と呼ばれたヘレン・ケラーの生涯と挑戦の軌跡を、実体験を交えて紐解いていただいた。【写真=ⓒ時事/米ニューイングランド歴史系図協会提供】
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ヘレン・ケラー
1880年米国生まれ。熱病のため、1歳7カ月で聴覚と視覚を失うが、6歳からアン・M・サリバンによって教育を受け、20歳でハーバード大学ラドクリフ・カレッジに合格。三重の障害を抱えながら大学教育を修了した世界最初の人となった。全米及び海外各地で講演を行い、福祉活動に貢献。3度の来日を果たし、1948年には身体障害者福祉法制定の動きに影響を与えた。1968年死去。【写真=ⓒ時事/米ニューイングランド歴史系図協会提供】
東京大学特任教授
福島 智
ふくしま・さとし
1962年兵庫県生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。18歳で失聴し、全盲ろうとなる。1983年東京都立大学に合格し、盲ろう者として初の大学進学。金沢大学助教授などを経て、2008年より東京大学教授。2023年4月より現職。盲ろう者として常勤の大学教員になったのは世界初とされる。社会福祉法人全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟アジア地域代表などを務める。著書に『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社)、電子書籍に『渡辺荘の宇宙人』(素朴社)などがある。2022年11月、その半生を描いた映画『桜色の風が咲く』が公開され大きな反響を呼んだ。