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いま日本は数々の内憂外患を抱えているが、その最たるものの一つが深刻な読書離れである。日本はかつて世界に冠たる読書大国であった。幕末の時代、日本人は圧倒的な識字率を誇り、女性や子供を含む庶民まで挙って本に親しみ、訪れた外国人は一様に驚嘆したという。それが明治期の大発展へと繋がったのだ。なぜ日本人は本を読まなくなったのか。国民の多くが読書をしなくなった国家が辿る末路とは。歴史上の事例と自身の読書遍歴を交えつつ、古典・歴史(=人間学)の学びが人生に与える影響、読書立国への道筋を中西輝政先生に論じていただいた。
京都大学名誉教授
中西輝政
なかにし・てるまさ
昭和22年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、米国スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院教授。平成24年退官。専攻は国際政治学、国際関係史、文明史。平成9年山本七平賞・毎日出版文化賞受賞。14年正論大賞受賞。著書に『近代史の教訓 幕末・明治のリーダーと「日本のこころ」』(PHP研究所)など多数。