金星探査機「あかつき」が昨年(2015年)、金星の楕円軌道に投入された。日本の探査機が初めて地球以外の惑星の周回軌道に入るという快挙に日本中が湧いた。しかし、この計画は5年前の探査機打ち上げ後から困難を極めていた。主力エンジンが故障し、探査機が太陽の軌道に入ってしまったのだ。再投入は絶望的と見られる中、プロジェクトチームはいかに一丸となってミッションプロジェクトマネージャ・中村正人氏にその奇跡の復活の歩みを語っていただいた。
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金星探査機「あかつき」衛星主任
中村正人
なかむら・まさと
昭和34年生まれ。57年東京大学理学部地球物理学科卒業。62年東京大学理学系研究科地球物理学専攻博士課程修了。ドイツのマックスプランク研究所研究員、旧文部省宇宙科学研究所助手、東京大学大学院理学系研究科助教授を経て、現在JAXA(宇宙航空研究開発機構)教授。金星探査機「あかつき」では開発段階から計画責任者を務めた。